AITEC　ｔｅｃｈｎｉｃａｌ　ｔｏｕｒｉｎｇ　club

★１９９９年７月、私は以前から仕事上で付き合いのあったオルカさんより「せっかく免許持っているなら大型バイクに乗りませんか」と誘いを受けていました。しかし高校時代に２年ほど125ｃｃのオフ車に乗っただけで、すぐに４輪に移った私にはすでに２０年以上のブランクがあり、ましてやロードタイプは未経験の為、とても今更乗れるわけが無いと断り続けていました。ところがある日、オルカさんが私の会社まで自分のバイクで遊びに来たのです。それはｋａｗａｓａｋｉのZX-10という1000ccの逆輸入車でした。一目見て私はその圧倒的な迫力のあるスタイリングに、思わず「カッコイイ！」と叫んでしまい「こんなバイクを自由に乗り回せたらさぞ気持ちがいいだろうなー」と、それまで無理だと思い込んでいた気持ちの中に「もしかしたら自分にも乗れるかもしれない」という考えが沸々と湧き出してきたのです。そして思わず「じゃあためしに乗ってみて乗れたらね！」と言ってしまいました。

★そして数日後、別の友人Ｔ氏所有のｓｕｚｕｋｉ GSX-R750を借りて、オルカさんと二人で笠堀ダムまでミニツーリングに行きました。初めて跨るビッグマシン、しかも前傾のきついレプリカマシンです。恐る恐るクラッチを緩めアクセルを回しゆっくりと発進する。「怖い！でもおもしろい、思っていたより乗れる」とすっかり有頂天になった私はすっかりライダー気分になっていました。しかし笠堀までの僅か２０ｋｍ程の距離で左手がクラッチを握れないほど痛くなり、オルカさんに愚痴をこぼしていたらどこかの親父さんが「カッコイイバイクだね何ｃｃだね」と声を掛けて来たのです。私は自分のバイクでもないのになぜか優越感に浸っていました。それから何とか三条まで戻りその足で近所のバイク屋さんに見にいきました。店の主人にkawasakiのゼファーが乗りやすいよと進められ、なんと試乗までしてしまい一日で２種類のビッグバイクを体験してしまったのです。そしてこの時すでに私の気持ちは決まっていました。

★後日、本屋でバイク雑誌を見ながら考えました。「レプリカ系はカッコいいが前傾がきつい、ネイキッドはポジションは楽だけど高速走行でやはりカウルがほしい」そこで目をつけたのがｋawasakiのZZR1100とGPZ900Rの２台でした。（オルカさんのZX-10のインパクトが強くてKawasaki車にしか目が行かなかったようです）この２台はツアラーというkawasakiが作り出した新ジャンルといえるスタイルで、レプリカとネイキッドの中間的な位置づけになり、一見レーサー風のカウリングを持ち空力に優れ、長距離ツーリングでも疲れない程度の前傾姿勢で乗れるバイクです。しかしZZRは逆車でフルパワー、私にはまだ無理だろう・・・GPZなら国内仕様がある。「これだ、これしかない！GPZ-900R通称『忍者』確かトップガンでトム・クルーズが乗っていた奴だ」意外とミーハーな私は映画のワンシーンに自分をダブらせていたようです。その足で近所のバイクショップ『ライセンス』さんに行き忍者のカタログをもらって簡単な見積もりをしてもらい、一旦家に帰って僅か1時間後今頼めば来月には乗れるとショップにとんぼ返りして「すいません、さっきの奴買います」と大して値切りもせずに決めてしまったのです。「普通は一日考えてから翌日に来る人が多いけど、当日来たのはあなたが初めてだね」とショップの人にからかわれてしまいました。オルカさんにはまだ秘密です。

★そして８月ついに待望の忍者が入荷したとの連絡が入りました。初めて見る実車の忍者は予想以上に大きく見え、跨ってみると前傾はきつくは無いがハンドルが少し遠く感じます。カウルが中途半端な様にも見えますが、むしろ締まった感じでカッコイイ、排気音は予想していたより良くなかったですが、これがｋａｗａｓａｋｉらしい音だとライセンスさんの社長に言われました。さて、あれ以来約一ヶ月バイクに乗っていない私は道路に乗り出すのが怖くて、ギコチナイ動作にライセンスさんの社長も心配そうに見送っていました。とりあえずスタンドまでガソリンを詰めに初クルージング、走り出せば大丈夫なのですが止まる時が又怖い！発進と停車時に緊張してしまう。確かこの日は平日だったのでスタンドを出て真っ直ぐ自宅の車庫へ、ああ次の日曜日が待ち遠しい･･･オルカさんに連絡を取り第一声『買ったよー！』当然オルカさんはビックリしていました。その後はオルカさんに付き合ってもらい毎週のように走っていました。実は私がバイクを買ったら乗るときは必ず付き合う事を約束させていたのです。徐々に距離を伸ばしながら、下手糞な私の走りに文句一つ言わずに付き合ってくれたオルカさんのおかげで、私はようやく人並みに走れるようになったのです。この場を借りてお礼を言いたい『ありがとうオルカさんあなたのおかげです。』

★こうして私はいっぱしの忍者使いになれたのです。その後はオルカさんの紹介でロメオ・アップリカ両君とも知り合い一緒にツーリングに行くようになり、その後A-t-t-cの結成となるのです。